能楽鑑賞マメ知識
そもそも、能とは古くからのエンターテイメントです。
加賀宝生能が息づく金沢は、能を演じるのに必要なものはすべて地元でそろうという
全国でも有数の能が盛んな土地柄で,現在でも能の鑑賞会が多数行われています。
元来はお弁当を食べながら仲の良い人同士でわいわい鑑賞するのが一般的だったことはあまり知られてないでしょう。
ここではそんな能楽を鑑賞するときのマメ知識をご紹介したいと思います。

「幽玄の美」という言葉は、能を紹介する時によく使われます。
主人公の感情、謡やワキ役の状況など、一つの舞台の上には様々な表現が溢れていますが、
それらを感じてみると「幽玄」という言葉が何となく分かるような気がします。

面(いわゆるお面ですね。“おもて“と読みます。)一つとっても見る角度、方向によって様々な表情に見えます。
俯くと悲しげな表情、上を向くと嬉しい、楽しいといった表情に変わって見えるなど
あたかも生きているような感覚に陥ってしまいます。

また、舞には「形」というものがあります。
手を顔の前に持ってきて「泣く」、柱に向かって扇子を振りかざし「切る」などの形があり、
その話固有の「形」、いろんな話に使われる「形」などこれも多種多様です。
この「形」が舞において一番の見せ場になるのでシャッターを切るときにはここは逃さないように気を使います。

また、能の世界では演じられる話のことを「番組」と呼び、宝生流では現在180の番組があります。
それらは神話から、武士の話、悲恋の物語まで大まかに5つに分かれています。
一番目物(神様のお話)、二番目物(男性が主役のお話)、三番目物(女性が主役のお話)、
四番目物(狂女のお話)、五番目物(鬼や化物の話)の五つです。

昔は一日に五番、能の合間に狂言が入り一日の演目となっていたそうです。
現在は謡や、囃子、舞でそれぞれストーリーの一部を演じたり演奏したりすることもあり、
なかなか一日に能を5回も見られることはなくなってしまいました。
謡や囃子だけでもあたかもそこに能が
演じられているかのような感覚に陥ってしまうのも、能の魅力のひとつです。

男性的な力強さ、女性の美しさ、神々の神聖さ、人間の心の中の暗部、
様々な能に触れてみると日本人の感性を再確認させられる気持ちになります。
日々の生活の中でたまには鼓と笛と謡に耳を傾け、舞を楽しんでみるのもいいものです。

華やかに、時には、厳かに行われている能の世界に皆さんも足を踏み入れてみてはどうですか?
きっと「幽玄の美」ってこんなことなのかと、感じられると思いますよ!